疾患管理シリーズ『睡眠』⑦

 管理栄養士のmarinaです。睡眠についてのお話の中で、よく何時間眠れば良いか、という質問があります。答えとして、睡眠をきちんととることができたかどうかは日中しっかり覚醒して過ごせるかが目安となるため、個人差があります。
 米国の大規模調査では睡眠時間が7時間の人が最も死亡率が低く長寿でした。短い睡眠が健康にとってリスクというのは理解できるかもしれませんが、8時間を超える睡眠時間の人も死亡リスクが上昇するという結果がでています。これまで理想的な睡眠時間は8時間と言われましたが、学問的根拠はなかったのです。

 実際に睡眠時間を調べた数々の論文をまとめたデータによると、夜間の睡眠時間は10歳までは8~9時間、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、加齢とともに必要な睡眠時間が少なくなるということが報告されています。成人の場合、個人差はあるものの6~7時間前後の睡眠時間が目安のようです。
 また、高齢者では若い頃にくらべて早寝早起きになりますが、これは体内時計の加齢変化によるもので、睡眠だけではなく血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになります。

 朝が得意か苦手かは、生まれつきの体質であるということが明らかになってきました。一般的に若い人は朝が苦手ですが、それが年をとると少しずつ解消されてきます。これは加齢による睡眠調節の老化が原因であるということもわかってきました。
 このように同じ人でも睡眠時間は季節や年齢によっても変動するため、あまり睡眠時間の長短にはこだわらなくても良さそうです。

 参考 大塚製薬株式会社 睡眠リズムラボ